4.バランスをとるための住宅

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 ↑この図は私達が提案する、脳と身体のバランスをとるための住居の立面図である。肉体的には1人の人間しか入れないが、内部のコンピューターに自らの脳をリンクする事によって無限のサイバーワールドに入っていく。そこでは私達が今現在日常的に行っている頭脳活動がバーチャルリアリティーを媒体にして行われている。

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 ↑この図は住宅を輪切りにして並べたのもので、住宅のC.T.SCANと考えると解りやすい。左側が自然の系に属するエリアであり、右側は脳の系である、左側から入った人は、肉体をしばらくの間忘れるために、身体を徐々に小さくかがめながら、一つの固まりのようになって一番奥のタンクに納まる。タンクの中では脳がコンピューターとリンクされ、その中で肉体を忘れ、脳としての時間を過ごす。そこは、無数の人間の脳で構成される、人間の為だけの新しい都市である。ここではヴァーチャルリアリティーを媒体にした社会生活が行われている。
 現在の「現実」と同様にこの都市には電子情報で構築された3次元のオフィス・ショッピングセンター・映画館・美術館・etcがあり、人はこの世界のタイムテーブルに従って、必要なときに住宅の中のカプセルに入り、仕事やその都市の生活を楽しむ。(この世界での人間の営みに対するエネルギーの消費は主に電力であり、電力は太陽電池に依存するであろう。)
 一定時間たつと肉体からの要求によって、カプセルから出てくる。カプセルを出て住宅の外の自然の系に向かうときは、今まで忘れていた肉体を取り戻すために、大きく腕を広げ羽ばたくような形で出てくる。そして、自然の中にとけ込んでいく。
 自然の系の世界では私達は肉体の応ずるままに生きるであろう、その事をサポートするために、ホスピスという施設が用意されるている。それは宿泊・飲食施設・病院そして育児所など肉体が依存する施設が複合されており、脳を守るために厳しい健康管理がされている。
 それからホスピスの周囲には「墓地」が必要である。私達が肉体を忘れないためにも「死」は身近になければならない。
 住宅は単体では機能できないので、いずれかのホスピスに依存することになる為、ホスピスの周囲に群をなすように集まってくるであろう。そして、その周りには豊かな自然環境が広がり、私達はその環境から様々なことを享受できるのである。また、その環境を活かした趣味や仕事も発達している。人々は趣味や仕事に合わせて各地のホスピスを渡り歩くことも可能なのである。

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 ↑このような考え方に基づいて完成する住宅の立面図(側面)である

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 ↑自然の系に属する側の立面図、人間の形をした入り口が見える。

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 ↑脳の系に属する側の立面図、頭部のカプセルは 使用するCPUシステムに合わせて交換することができる。

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 ↑この住宅は自走することができる、受信した情報を生かすためには移動は不可欠である。

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↑又、必要であれば飛行することができる。

以上が、私達が提案する住宅と都市のシステムである。かなり矛盾が多い提案に思えるかもしれないが、このシステムを構築し維持していくために必要な熱 と、現在の工業化社会において消費し続ける熱 の比較をするなどの検討から始めれば、この提案がそれほどばかばかしい案ではないことが解っていただけると思う。次のページでは、このような住宅システムで構成される「都市」を見ていただきたい。

 

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